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コスプレ
コスプレ造形メーカー「匠工芸」へ突撃レポート!
2016年3月17日(木) 15時27分配信
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プラスチック素材で作られているとは思えないほどのクオリティ!!
イベントに向けた衣装製作のために理想の生地を探し回り、眠い目をこすりながらの夜な夜な修羅場の縫製作業。イベント当日は早めに会場へ向かってメイクもばっちり仕上げ、いざ撮影エリアへ出陣!しかし、意気揚々と持ちだした剣やカブトが想像以上に重かったり、会場までの移動途中にバッグのなかでぽっきり折れてしまっていると、せっかくの楽しみも半減してしまう……。

そんな苦い経験は、コスプレイヤーならば誰しも1度はあるかもしれない。造形物の製作は衣装と同じく作る楽しみがある反面、軽量化や安全性の高い材質選びなど、素材収集や加工作業、そして持ち運びにも苦労が絶えず、様々な面を考慮する必要がある。

先日、コスプレイヤーズアーカイブ・ニュース編集部が訪れたコスプレイベント (姫路で初開催!「ひめじSubかる☆フェスティバル」現地レポートを参照) の会場内で、コスプレイヤーだけでなく一般の来場者でにぎわっているブースがあった。そこには本物と見紛うほど精巧に作られた武器や防具、アクセサリーが並んでおり、さながらロールプレイングゲームの武器商店の如き店構えだった。

そのブースを出展していたのは、プラスチック加工や看板の製造メーカーである「匠工芸」。コスプレ造形との関わりをより知るために、編集部がその社屋を突撃訪問したレポートをお届けする。

工場入口に陳列されているさまざまな造形加工品は、イベントなどの出展ブースでも見かけることができる。



ダークフレイムマスターがお出迎え
「匠工芸」の社屋は、大阪府から電車を乗り継いで1時間半ほどの兵庫県高砂市にある。今回取材のご対応をいただいたのは、代表の折井匠氏。ガンダムとドラゴンクエストをこよなく愛する、自称「ダークフレイムマスター」だ。「闇の炎に…」なんて決め台詞が出てくることもなかったので、もしかしたらすでに聖騎士へクラスチェンジをしたあとの姿なのかもしれない……。

折井代表自慢のオリジナルブレード。これだけの長さの先端まで強く発光させるために、特殊な加工技術が使われている。なんと500万円もの製造費がかかっているとのこと!ま、まぶしすぎる……!!



匠工芸はプラスチック板を使ったものづくりを手掛けており、店舗の看板を始め、ディスプレイケース、アクリルボックス、機械カバーなど多種多様にわたるプラスチック加工品を生み出している。小ロットでの別注加工を得意としており、看板のデザインなども社内で制作している。

その加工技術をいかしたコスプレ造形ブランド「タクミアーマリー」を立ち上げたのが2012年。アーマリーは「武器庫」という意味で、社屋のある「兵庫」の由来ともいわれている「兵の武器倉庫」にも引っ掛けているそうだ。

「匠工芸」の社屋。たくさんのオノマトペ(マンガの擬音語表現)が描かれた大きな看板が目立つ。よく見ると、取り扱い品の案内看板には「痛グッズ」と書かれている。



プラスチック素材の特性をいかした造形づくり
プラスチックを素材とすることで享受できる点は、完成品の重量が軽く、しかも硬いこと。金属であれば硬さは引けをとらないものの、持ち運びをするうえでの重さがネックとなってしまう。また、細くて長い造形物の場合でもしっかりと形状を保つことが可能である。ダンボール紙などではやや不足が生じてしまう。そして、それらの利点に加えて透明度を持たせることができる点は、他の素材にくらべて特に有用な点である。

実際に筆者も完成品のブレードを持たせてもらった。軽すぎることもなくちょうど頃合いの良い重さで、手のひらにブレードの存在感も感じられ、持つ手に自然と力が入りテンションが湧きあがってきた。素材の特性を見事にいかした造形品であった。

塗装済みの完成品と、組み立て前の段階のものを並べての比較。


表面にパテ(塗料)をのせて厚みをもたせている。柄の中に差し込む部分は、強度を保ったまま軽量化を図るためにスリット状に削られている。



プラスチックと呼ばれるものには、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂(塩ビ)、ポリカーボネート(ポリカ)など様々な原料のものがある。それぞれに特性が異なるので、プラスチック加工業ならではの製造ノウハウを利用し、製作物ごとにあるいはパーツごとに使い分けているそうだ。

これらプラスチックを切ったり削ったりする「樹脂切削加工」は、NCルータと呼ばれる加工機械が担う。グラフィックデザインソフトと連動しており、データを入力することでなんと0.01mm単位(!)での精密な切削が可能というのだから驚く。畳サイズもの大きさのプラスチック板を載せることができ、瞬く間に思いどおりの形に仕上がっていく匠工芸の最大の武器である。

NCルータと呼ばれるプラスチック加工機械。手作業では到底不可能なプラスチックの切削を可能にする魔法の手。


0.01mmという極めて精密な精度で、直線のみならず曲線や堀り込みなどの複雑な形の加工ができる。



→次のページは、コスプレ造形における素材選びのワンポイントアドバイス
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