品切れ続出のパンフレットには、ネタバレ注意と記された帯。
[駄犬の切り貼り実験ノート:第23回]
東宝映画「シン・ゴジラ」が、想定を超える快進撃を続けています。
エヴァンゲリオンで知られる庵野秀明総監督作品という事で注目を集めておりましたが、その完成度からリピーターも続出。 公開20日間で興行収入38億円/観客動員268万人を突破。目標だった40億円を大きく越え、現時点で本年度邦画No,1「名探偵コナン 純黒の悪夢」の63億円/471万人に迫れるか注目されています。 カップル向けのデート映画でも、親子で一緒に見るファミリー映画でもない本作が、ここまで成績を上げているのは脅威と言えます。
公開初日まず最初に動いたのは、当然ながら怪獣映画をずっと追いかけてきたマニア層でしたが、しかし、それだけではありませんでした。 子供の頃に90年代vsシリーズや00年代前半のミレニアムシリーズを見ていた層、多感な頃に庵野秀明の名を心に刻んでしまったであろうエヴァ世代らもちょっと遅れて動き出します。 そこからは絶賛の渦と、少々の賛否を巻き起こします。 評判が評判を呼び、普段は怪獣映画を見ていないであろう人たちまでが、積極的にシン・ゴジラに触れ、まさにネットを介しての口コミ効果で観客層が広がっていきます。
さて、まだ未見の人に向けて基本情報ですが。 「現実対虚構」(ニッポン対ゴジラ)をキャッチコピーに、“現在の日本に巨大な生物が出現したらどうなる?”をドキュメントタッチに描いています。 過去のゴジラ映画はシリーズ途中で何回か設定や世界観がリセットされていますが、初代ゴジラによる東京襲撃だけは全作を通じて“過去の事実”として継承されてきたのに対し、本作では初代ゴジラの存在すらもリセットされ、本当に人類が初めて経験する未曾有の災厄として、「怪獣」ではなく「巨大不明生物」と、その対策に翻弄される行政側の人間たちのドラマが中心です。
このため、今までゴジラ映画を見た事がない人が予備知識ゼロで映画館に入っても全く問題ありません。 過去作品へのオマージュ的な演出は多々ありますが、知らなくても全く問題ありません。
そして初代ゴジラが空襲や原爆のメタファーとしての恐怖を与えていたように、本作のゴジラも“何か”のメタファー(暗喩)として存在しています。その“何か”に気づくと、その後の展開やゴジラ対策により納得するかもしれません。 いや、まぁ予告編だけでも察しはつくと思いますが、直接的な被災シーンは数秒しかないので、プロジェクトXやNHKスペシャルの再現ドキュメントを見るくらいの感覚で大丈夫です。
庵野作品ですから、要所にアニメ的な画作りも込められておりまして、アニメファンが見るとエヴァっぽさを感じされるでしょう。 (正確にはエヴァこそが特撮テイスト満載なんだけど)
……コスプレイヤーズアーカイブニュースといえば特撮ですから。 今までマクロスやキンプリが取り上げられてきて、ゴジラを取り上げないのは不自然でしょう!
今回はシン・ゴジラ、略してシンゴジがテーマですが、既に他のニュースサイトではあらゆる感想や考察が飛び交っておりますから、ここでは趣向を変えて、シンゴジから入ったというファンに“じゃ、次に見たら楽しめそうな怪獣映画は何か?”を考えてみたり、ついでにファンによる同人コスプレ関連の人気を少しだけ見てみようと思います。
これ、重要な問題です! にわかファン大歓迎、沼が待っています。 でもシンゴジで入ってきて他のゴジラ映画を見てみたいと思っても、ゴジラだって色々あるのです。時代ごとに作風の変遷があります。 シンゴジのファンにいきなり「ゴジラの息子」「ゴジラ対メガロ」なんて見せても、戸惑うでしょ? あのゴジラが息子にスパルタ教育する姿を受け入れられますか? 子門真人の歌に乗って正義の心で巨大化しちゃうジェットジャガーを応援できますか? これはこれで楽しいので後々ぜひ観賞してほしいのですが、シンゴジで入ってきたファンに次に見せるべきではありません!
小学館ビッグスピリッツコミックス「トクサツガガガ」2巻(作:丹羽庭)においても、特オタ女子(30代)の吉田さんが言っています。 「仲間作りのためには闇雲に過去作のDVDを勧めるのではなく、その人の嗜好を分析した上で、押し付けずに、何に食いつくかという戦略が必要だ」と。
※以降、核心的なネタバレは避けますが歴代作品のセリフやシュチュエーションの話はあります。
→次、まず見てほしい5作品!
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