オフセット印刷化、表紙アートポストで2色刷り蛍光ピンク、本文上質紙70kg…という言葉が瞬時に浮かんでしまうのは同人脳。
[駄犬の切り貼り実験ノート:第25回]
今回はコラムではなくイベントレポです。 いつにも増して古いエピソードが多くて、1P目から不安が漂いますが……。 少々……一年半さかのぼりまして、2015年9月6日、閉館を控えた豊洲文化センターの地下ホールにて開催されたトークイベントの模様をお伝えします。
さて、「C-NET」という言葉はご存知でしょうか? 元は90年代、コスプレイベントの情報誌として主に関東圏で発行されていた月刊ペースの同人誌です。 現在は情報サイトとして発信する他、またイベンターとしては勇者屋さんと組んで「となりでコスプレ博」「TDCレイヤーズパラダイス」など開催しています。
90年代の初頭から次世代ハード戦争による格闘ゲームブームを背景としてコスプレイヤー人口が爆発的な増加を見せる中、コミケのような同人誌即売会イベントとは別に、コスプレだけのイベントが徐々に登場、定期的に開催されるようになります。 殆どはダンパ(ダンスパーティ)形式で、あとは少数のお茶会と、同人誌即売会に併設パターン。 コスモードもCureもカイブも無かった時代、主催も異なるこれら多数のイベント情報を個人で集めるのは不可能に近く、その情報誌としてC-NETは重宝され、次第に首都圏の書店でも委託販売されるようになりました。
そんな90年代前半に数々のコスプレダンパの会場となった“豊洲文化センター”の閉館に際し、C-NETの南編集長(本名の福島さんと呼んだ方が伝わるかもしれない。最近はガルパンおじさんとしてダンボール戦車を各地に持ち込んでいる光景でおなじみ)によるトークイベントが行われました。 同人誌即売会に併設以外でのコスイベは80年代から散発的には存在したらしいですが、複数のイベンターが定期的にコスイベとして単独開催するようになった会場は、この豊洲文化センターが最初期であるらしいです。 もっとも、コスプレダンパという形式自体は名古屋が発祥という説もあり、起源をたどるのはもはや民俗学の世界なのですが。
もはや同人界の文化遺産とも呼べるであろう(私も初めて見た!)品々を展示・上映しながら進められる南編集長のトークイベント。 傍でサポートしているのは勇者屋・片桐氏。 今とは違う時代のオタクの青春のお話です。 30代以上には懐かしく、若い人には新鮮に見えるかもしれません。
正直、カイブのメインユーザー層に伝わるのか不安があったので記事にするタイミングを逸していたのですが……今回、故あって一年半を経た公開となります。
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豊洲文化センター。手前は移行先の豊洲シビックセンター。左手にはゆりかもめの高架が見える。 |
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年季の入った地下ホール入口。 |
さよなら豊洲文化センタートークライブ
南 : おはようございます!20年ぶりという方が多いかと思いますが……。こちら豊洲文化センターは1989年4月オープン。94年3月のラストイベントまで約5年間、現在までつながる“コスプレイベント発祥の地”です。(89年は)コミケは幕張メッセに移行した頃、その幕張メッセで更衣室ができた頃です。
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トークイベントの風景。かつてダンパ時代には奥のステージがお立ち台だったそうな。 |
南 : 85年からキャプテン翼ブームで女性レイヤーが増えて、各地のイベント(主にコミックシティなどの同人誌即売会)でコスプレ禁止、行き場を失くしました。コミックグリフォン、ゲーマーズフェス、高天原さんみたいなのがこの会場を使い始めて、初期は同人誌即売会のついでにコスプレしてました。会場費が安かったんです。更衣室にちょうど良い部屋があった。(施設側からは)やるなら一日中借りてくれって。当時はゆりかもめの高架も無いから見通しが良かった。
このあと、イベント後に有楽町線で池袋まで行ってダンキンドーナツが美味しかったというような飲食店の話が続く。 モニターで当時のイベントで撮影されたコスプレ写真など紹介。 コーナーゲストとして、C-NETの表紙イラストを長らく担当した渡瀬れなさんが登壇。
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94年頃の表紙。あらゆる意味で当時の同人誌の匂いがする。まぁ書店売りしてたけど同人誌なんですよねC-NETって。 |
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ワープロ打ちの文章がズラッと並ぶ本文。各会場の収容人数まで記載。 右の方に共通ルールとして、(イベント会場には)「コスプレ姿での来場禁止」がある。これは元々80年代にコミケで導入された固有のローカルルールだったのだが、他のイベンターも追随していったのが分かる。 …おかげでその後、「コスプレはイベント以外ではやっちゃいけない」と思い込む人が多く、現在までエンドレス学級会に至っているのだけども。 |
南 : ウィッグなんて無いから地毛。それをカラースプレーで染める。洗面台が真っ赤になったり、壁に人型の金色の影がオーラみたいに残ってて……。
※大量の整髪料(通称ダイエースプレー)とカラースプレーによって各地の洗面所が染め上げられてしまい、現在につながる「スプレー禁止」の発端となった。
渡瀬 : この舞台、揺れるの怖い。 南 : 我々のせいだと思います!サイバーフォーミュラで踊りまくったり……(重さで)床が斜めになっちゃって、それからステージに上がれる人数を調整するようになりました!
※新世紀GPXサイバーフォーミュラ… 車がしゃべるアニメ。一人で行くので心配しなくて良いです。 【http://www.cosp.jp/photo_search.aspx?n2=80】
→豊洲文化センター使用禁止の真相
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